医師のワークライフバランス委員会では 、女性医師が常勤という勤務形態を選択できる環境を整えること、子育てのパートナーである男性医師の勤務環境の問題にも同時に取り組むことを目的に活動しています。そのためには、京都府下の医療機関におけるワークライフバランスに関する環境整備の現状を把握する必要があると考え、平成30年9月に京都府内の病院166施設にアンケート協力依頼を行い、計132施設(回答率:79.52%)からwebフォームを通して回答を得ました。回答期間は平成30年9月〜12月、結果については以下の通りです。
まだまだ、ワークライフバランス部門が何を目指すのか、という目標の設定ができていない(そのため数値目標や達成度評価がない)ままで、部門を設置している医療機関も多いと思います。
何か取り組みをする際には、①現状の分析をして、②課題をみつけ、③その解決を図るための方策を決定し、④改善しているか評価する、というプロセスが必要かと思いますが、そのプロセスに沿った設置というところにまで行きついていないようにも思います。いわゆる PDCAサイクルを回す仕組みにまでは至らないようにも思います。
部門の設置と産休取得は関連していないようです。部門のあり、なし、で妊娠するかどうかに影響するわけではないので、納得できる結果です。
また、部門があろうとなかろうと、必要性があるために、院内保育所の整備は進みつつあるように思います。思っている以上に取り 組み 医療機関が 増えている ように思いました。
最後に医師の女性管理職割合は1割前後でした。この点については、現在、女性医師の割合が増加していることを考えると、将来、管理者に女性が就く割合を高めるためには、時短制度の推奨は、逆に女性の経験を奪ってしまうリスクがあることもよく考えておく必要がある と思いました。当直の免除が必ずしもよいと思われませんので、そのあたりは、当直を免除するのではなく、当直できるように保育所を整備するという方法もあると思います。しかし、子どもの発達の保障も大切ですので、限度もあると思います。結局は、子どもを産み育てるために、男性であろうと女性であろうと仕事と家庭のバランスや調和がとれる環境を構築することを目指すのがよいのでしょうか。
2017年-2019年 医師のワークライフバランス委員会
委員 松村由美